側の器363

川と並走する道を歩いていて、対岸に渡りたくても橋がしばらく見つからない時がある。

川岸に立ちすくんで向こう岸を眺めていると、体の中から橋を渡せと声がしてくる。

愉しい声。とても励まされる声なので、これが人間の声なんだろうとよく耳を澄ませている。